ありがとう の言葉

 昨夜は10時前にはテレビを見ながら、うつらうつら眠っていた。
それでもミン剤を、と言うので「暫らく、そのまま眠れ。眠ったらテレビ消すから」と薬に頼らないようにそのまま眠らせた。
 いつも雄一は自分の部屋でテレビを見ながら寝てしまっている事が良くあった。その方が気がまぎれていいのか・・・と暫らく雄一の好きそうなバラエティー番組を着けていた。

 それでも昨日と一緒だ。
11時に起きて、ミン剤入れてまた12時に起きて、今度は痛み止め。その度に冷水を少し飲ませるが、その後はさすがに僕も良く覚えていない。
1,2度起きて4時頃には看護婦さんがチューブから出ている尿や液をチェックして計測していく。いつも思うが何で、こんな普通なら深い眠りの時間にするのだろう。
 僕でも起きるし、雄一も起きていて、またミン剤を、と言う。
薬に頼るな!とは言うが、辛いのは良く解かる。今度は錠剤を半分、冷水と一緒に飲んだ。少し痛みもあるようだ。

 そこからは寝ているのか、起きているのか僕自身も解からない状態でうつらうつらし、携帯の目覚ましバイブが震える前に起きて朝の準備にかかった。

 普段の生活で、けじめの無い生活をしていると、こんな事になるんだろう。
と、僕は偉そうに思うが、もし僕がなったらどうだろうか?
でも、やっぱり僕ならしっかり眠れると思うな。今も眠い。

 そんな5時頃に雄一はブザーで看護婦さんを呼んで、氷まくらを替えてもらう。そして替えてくれた看護婦さんに「ありがとう」と言っていた。
手術してからしゃべるのが辛いのか、うなずく事で済ます事が多かった。先日の夜に「しゃべれるんだからちゃんと話せ、胃を動かせ」と言っていて昨日は聞いた事には話してくれていた。
 家の中でも何でもしてもらう事が当たり前の様に成っていて、もう長い間、雄一からそんな言葉は聞いた事が無かった。
その後、暫らくしてうがいをしてやると、僕にも「ありがと」と言ってくれる。
少しは改心しかたな雄一。